
注文住宅は自由度の高い家づくりが可能で、住まいに対する夢や希望を形にできる魅力があります。しかし、実際に住み始めてから「これは必要なかった」「もっと慎重に選べばよかった」と感じるオプションも少なくありません。この記事では、多くの施主が後悔しやすいオプションと、その失敗を防ぐための具体的な対策を紹介します。
目次
入居後に気づく必要なかったオプション
注文住宅を建てる際、住宅メーカーや工務店からさまざまなオプションが提案されます。
営業担当者の説明を聞きながら「便利そう」「将来役立つかも」と感じて採用するケースはよくありますが、実際にはほとんど使わないまま終わってしまうこともあります。
使わないスピーカーや配線設備
リビングに設置する天井埋め込み型スピーカーや各部屋へのLAN配線などは、近年のワイヤレス機器の普及により、ほとんど使われないままになってしまうこともあります。
当初は「ホームシアターにしたい」と夢を抱いていても、実際の暮らしではテレビの音響で十分と感じたり、Wi-Fi環境でまかなえるので配線は不要だった、と感じることもあります。
過剰な収納スペース
収納は多ければ多いほど良いという考えから、玄関収納、階段下収納、ウォークインクローゼットなどを設けるケースも多く見られますが、使い勝手が悪かったり、そもそも収納するものがなかったりと、思ったほど活用されないことも珍しくありません。
しまったまま忘れていたという事態も発生しがちです。
豪華すぎる玄関まわり
大理石調のタイルや間接照明を用いた玄関は確かに見栄えは良いですが、住み始めると「掃除が大変」「もっと実用的な素材にすればよかった」と感じることが多いポイントです。
来客の頻度や生活動線を踏まえたうえで、本当に必要かどうかを見極めたいところです。
「もっと早く知っておけば…」後悔の理由とは?
オプション選びで後悔が生まれるのには、いくつか共通した原因があります。
これらを知っておくことで、同じ失敗を防ぐことができます。
暮らしのイメージ不足
カタログやモデルハウスで見た印象で「良さそう」と判断してしまうと、実際の自分たちの生活スタイルと合っていなかったというギャップが生まれます。
たとえば、キッチンの食洗機を大型タイプにしたものの、二人暮らしには大きすぎて使いづらかったという声もあります。日々の生活の中で、その設備がどのように使われるのかを具体的にシミュレーションしてみることが重要です。
提案されるままに決めてしまう
営業担当者や設計士から「人気がありますよ」「今はこれが主流です」と言われると、ついそのまま採用してしまいがちです。
しかし、流行はあくまで参考程度にとどめ、自分たちの暮らし方に合った選択をするべきです。「ほかの人がやっているから」という理由で取り入れた設備ほど、使われなくなる傾向があります。
長期的視点の欠如
オプションを選ぶ際は、今だけでなく、10年後、20年後の生活も考慮しなければなりません。
とくに子育て世帯では、子どもが成長して家を出たあとの空間の使い方や老後を見据えたバリアフリー設計が求められます。先のライフステージを見据えた選択が、後悔を減らす鍵となります。
後悔しないためのオプション選びの工夫
オプション選びは、単に付ける、付けないの判断ではなく、将来の暮らしに直結する大切な選択です。
後悔を避けるためには、いくつかの視点と工夫が役立ちます。
実際に住んでいる人の声を参考にする
リアルな生活者の声ほど信頼できる情報はありません。
住宅展示場ではなく、実際に注文住宅に住んでいる知人やSNS・ブログなどで体験談を調べると、具体的な後悔ポイントが見えてきます。「あの設備は要らなかった」「これは本当に便利だった」といったリアルな声を事前に知っておくことで、自分たちの判断に役立てられます。
優先順位を明確にする
すべてのオプションを取り入れることは、コスト面でも現実的ではありません。
家族全員の希望をリストアップし、「絶対に必要」「できればあったほうがいい」「なくても困らない」といった優先度を整理することで、選択に迷いがなくなります。また、譲れない条件をはっきりさせることで、ほかのオプションに流されにくくなります。
将来的に追加できるかを確認する
すぐに必要ないものは、あとから追加できるかどうかもチェックしておくと安心です。
たとえば、照明やコンセントの位置、電動シャッターなどは、初期段階で配線だけしておくことで、将来の追加工事を安く済ませることも可能です。必要になったタイミングで導入できる余地を残しておくのも賢い方法です。
まとめ
注文住宅は、一生に一度ともいえる大きな買い物です。その自由度の高さが魅力である反面、選択を誤ると後悔につながりやすいという側面もあります。とくにオプションは、つけた当初は便利そうに見えても、使われずに終わったり、維持管理が面倒になったりと、思わぬ落とし穴もあります。大切なのは、自分たちの暮らしにとって本当に必要なものを見極め、情報収集とシミュレーションを重ねることです。今だけでなく将来を見据えて選ぶことで、満足度の高い家づくりにつながるはずです。建てたあとに「こうしておけばよかった」とならないためにも、冷静な判断力と準備が欠かせません。