若いうちに注文住宅を購入することは、将来に備えた投資のひとつです。新築の魅力は、カスタマイズ可能な空間、最新の設備、そして将来の価値の増加です。しかし、予算やライフスタイル、将来の計画を考慮して慎重に計画しなくてはなりません。今回は、20代で注文住宅を購入するメリットや注意点について掘り下げます。
目次
物件種別ごとの20代の購入者比率
住宅を購入した20代は、どのような物件種別を選択しているのでしょうか。物件種別によって、それぞれメリットやデメリットがあります。
ここでは、20代が選ぶ物件種別について、詳しく解説しています。これから住宅を購入しようと考えている20代は、ぜひ参考にしてください。
物件種別の割合
住宅を購入する際、まず物件種別を選びます。注文住宅や建売住宅、新築マンションなどがあります。
土地付きの注文住宅を選んだ20代は、18.9%と最も多い結果になりました。続いて、建売り住宅が15.7%で、新築マンションが11.1%です。
20代で住宅を購入するのは珍しいことではありません。住宅の種類は、自分たちのライフプランに合ったものを選ぶことが大切です。
購入する住宅種別の選び方
購入する住宅種別は、慎重に選ぶ必要があります。今後のライフプランに合わせて選ぶと、長く住み続けられます。
まず、戸建ては自由にリフォームや建て替えできる点が大きなメリットです。しかし、2階建の住宅を選ぶと、歳をとった時に階段の上り下りがしんどいと感じるでしょう。
マンションはオートロックや監視カメラがあれば、セキュリティ面で安心できる点がメリットです。一方で、毎月管理費が発生するというデメリットもあります。
20代で家を買うために必要な年収
住宅購入を検討する際は「年収倍率」という考え方を用いることがあります。年収倍率とは購入者の年収と住宅の購入金額をあらわす比率で、住宅ローンの審査における判断基準のひとつです。
購入する物件の種類によってさまざまですが、注文住宅の年収倍率は7.4倍とされています。目安とされる7.4倍をもとに住宅の適正金額を計算した場合、年収300万円でおよそ2,200万円の住宅が適正金額となります。
年収は世帯年収で考えるのが一般的なので、共働き世帯であれば夫婦二人分の収入で年収倍率を計算することが可能です。たとえば旦那様が年収400万円、奥様が年収300万円なら、購入する住宅の適正金額は約5,180万円となります。
ただし、年収倍率はあくまで住宅の購入金額に対する基準に過ぎず、住宅ローンの利用可能額をあらわす数字ではありません。住宅ローンの審査では世帯年収が200万円台だと住宅ローンが利用できない可能性があるため、世帯年収は最低でも300万円台を推奨します。
年収倍率だけで住宅ローンの借入額を決めると平均より借り過ぎる可能性があるため、想定より返済が大変になりがちです。注文住宅の年収倍率は7.4倍購入金額に頭金が含まれている場合は注意してください。
20代で注文住宅を購入するメリット
若いうちに注文住宅を購入することは、将来の安定と満足度を高める一歩です。早い段階での投資には、数々の利点があります。以下に、20代で注文住宅を購入するメリットを詳しく紹介します。
将来の資産価値の増加
若い世代が注文住宅を購入する最大の魅力は、将来の資産価値の増加です。新築住宅は、年月が経つにつれて価値が上昇する傾向にあります。資産形成の一環として、20代で住宅を手に入れることは将来の財政的な安定につながります。
カスタマイズ可能な空間
注文住宅は、自分の好みに合わせてカスタマイズできるため、理想の生活空間が実現します。趣味やライフスタイルに合わせて部屋のデザインや設備を選び、自分らしい暮らしを楽しむことができます。
最新の設備と技術
新築住宅には最新の設備と技術が搭載されており、エネルギー効率の高い家庭環境を実現できます。省エネルギーシステムやスマートホームテクノロジーを取り入れることで、快適な生活を維持しながら節約も可能です。
ライフステージに合ったプランニング
20代で注文住宅を購入することは、将来の計画に合ったライフステージを整えるチャンスでもあります。家族を持つ予定があれば、子育てに適した住環境を整えることができます。逆に、独身や共同生活を楽しむ場合も、自分自身のライフスタイルに合わせたプランニングが可能です。
20代で注文住宅を購入するデメリット
20代で注文住宅を購入するメリットについて詳しく見てきましたが、この決断には注意が必要な側面も存在します。次は若い世代にとっての注文住宅購入に伴うデメリットを説明します。
財政的な負担
若いうちに住宅を購入する場合、まだキャリアの初期段階で収入が限られていることが多いため、高額な住宅ローンを背負うことになります。月々の支払いが重くのしかかることで、生活の柔軟性が制限され、他の投資やライフスタイルに制約を生じる可能性があります。
将来の不確実性
20代はキャリアやライフスタイルにおいて変化が多い時期です。仕事の転職や場所の移動、家庭の変化など、将来の不確実性が高いため、長期的な住宅ローンのコミットメントがリスクとなります。予測不可能なできごとに対処するための柔軟性を失うことが懸念されます。
メンテナンスと管理費用
住宅を所有すると、定期的なメンテナンスや管理費用がかかります。これには修繕費、固定資産税、住宅保険などが含まれます。若い世代はこれらの費用を負担する余裕があるかどうかを検討する必要があります。
投資の多様性の制限
住宅購入にかかる初期投資や毎月のローン支払いが大きい場合、他の投資機会を見逃す可能性があります。株式、債券、リタイアメントプランへの投資など、資産の多様性を確保できなくなるかもしれません。
購入前に考えておきたいポイント・注意点
20代で注文住宅を購入する際のメリットとデメリットを紹介しました。最後に、注文住宅を購入する前に検討すべきポイントと注意点について詳しく探求しましょう。
予算と財務計画
住宅購入における基本は予算設定です。どれだけの価格帯の住宅が自分の予算内に収まるかを明確にしましょう。また、住宅ローンの利率や返済計画を検討し、将来的な支払い負担を計算しておくことが大切です。
将来のライフプラン
住宅購入は将来を見越して行うべきものです。結婚や家族の増加、転職などのライフイベントを想定し、住宅選びに反映させましょう。将来の変化に対応できる柔軟性を持つ住宅を選ぶことが重要です。
ロケーションと交通アクセス
住む場所の選択は生活の便益に直結します。通勤や買い物、子供の学校など、日常生活に必要な施設へのアクセスがスムーズであるかどうかを確認しましょう。また、地域の安全性や将来の発展性も考慮しましょう。
建物の品質と設備
注文住宅の品質や設備は、長期的な住み心地に影響を与えます。建築会社の信頼性や実績を調査し、建物の耐久性やエネルギー効率、スマートホーム機能などを検討しましょう。
法的な事項と契約条件
住宅購入に伴う法的な手続きと契約条件は複雑です。専門家のアドバイスを受けながら、契約書を十分に理解し、納得した上で署名しましょう。また、不動産の評価や登記手続きも確認しておくことが重要です。
近隣環境とコミュニティ
住む場所の近隣環境やコミュニティも忘れずに考慮しましょう。隣人との関係や近隣の施設、環境への適応性が生活の満足度に影響します。20代で注文住宅を購入する際にはこれらのポイントと注意点を踏まえ、慎重な計画とリサーチが不可欠です。将来の幸せな生活のために、適切な住宅選びを行いましょう。
20代でマイホームを購入した人の失敗談
住宅ローンの長きにわたる返済期間を考えたとき、20代のうちにマイホーム購入を検討することは珍しくありません。しかしマイホームを購入した20代のなかには「失敗した」「後悔している」といった声があるのも事実です。
たとえば子どもの誕生を機にマイホームを購入したものの、先の生活資金まで考えていなかったという失敗談があります。家族が増えることで当然出費は多くなりますが、出産後の女性は以前と同じように働けるとは限りません。
また、マイホーム購入がただの目的となっているケースも危険です。住宅ローンの返済期間は、決して短くありません。親戚や友人に住宅購入をすすめられても、安易に検討するのは避けましょう。
頭金なしで住宅を購入して後悔する人も見受けられます。貯金もなく住宅を購入すると、急な支払いが発生したときに返済が難しくなります。低金利で住宅ローンを組めたとしても返済期間は長期に及ぶため、マイホームへの憧れが強すぎる人は注意しましょう。
マイホーム購入は、一生ものとなる大きな買い物です。決して安くはないからこそ、パートナーと将来の家族像を話し合ったり、理想の生活は賃貸では叶えられないのか考えたり、半年先の生活資金を確保したりといった計画性を大切にしてください。
まとめ
20代で注文住宅を購入することは、将来の安定と快適な生活の実現に向けた大きな一歩です。メリットとして、資産価値の増加、カスタマイズ可能な空間、最新の設備、そしてライフステージに合わせたプランニングが挙げられます。しかし、デメリットも忘れてはいけません。
財政的な負担や将来の不確実性、メンテナンス費用、投資の多様性の制約があります。購入前に検討すべきポイントとして、予算と財務計画、将来のライフプラン、ロケーションと交通アクセス、建物の品質と設備、法的な事項と契約条件、近隣環境とコミュニティが挙げられます。
これらを注意深く検討し、将来への備えをしっかりと整えつつ、20代での住宅購入を成功させるために努力しましょう。